花曇り


この時期、毎年必ず思い出す歌がある。
初めて聞いたのは約20年前。大好きなアーティストのアルバムの1曲。
安定の上下が激しく、ロングトーンが特徴的な、とても難しい曲。
カラオケで何度も何度も練習したことが懐かしい。
そのアーティストの作る音楽は、情景が浮かんで、いつもその世界に引き込まれてしまう。
悲しくて切なくて、いつ聞いても涙が溢れる。
歌詞も音もリズムも全てが相まって、私にとっては忘れ難い、尊いお別れの歌。
桜が出てくる。
舞う桜の花びら。
知らないのに光景が見える、一緒に苦しくなる。
そして、とても綺麗な歌。
散るピンク色の花びらとともに少しずつ過去を思い浮かべながら離れていく心、でも同時に開放感やほぐれていく気持ちにも気づいている。
また純粋にこの景色が美しいと感じている。
悲しくて辛くて仕方がないのに、その瞬間を忘れたくない、とても苦しくて受け入れたくないのに、どこかで、未来の希望も感じてしまう、複雑な葛藤。
感情とは思わず湧いてくるもので、わかりやすいものもあるが、同時に反する思いも湧き上がっている。
どちらも自分の中から生まれた大切な思い。
悲しい時にも希望はあり、嬉しい時も不安は存在している。
その自分を、自分がしっかり見つめて、どちらの気持ちも噛み締めて、抱きしめてあげよう。
切ない気持ちを思い出したこんな日は、開花してゆく桜を愛でてながら思い出に浸ってみる。
散りゆくその日まで楽しみたい。