日向ぼっこのススメ

白梅

こんにちは、カウンセラーの坂上です。
暦の上ではもうとっくに春ですが、日本海側ではまだ大雪の被害があり、関西でも寒暖の差の激しい今日この頃、身体がなかなかついていかないという方もおられるかもしれません。

でも確実に日は長くなっており、紫外線の強さを感じ始める季節になってきました。そう、特に女性には不人気な紫外線。でも私達の身体にも心にも大きな影響を持っていることは、案外知られていないように思います。

確かに紫外線を浴びすぎると、皮膚へのダメージ(シミ・しわ・たるみ・老化・皮膚がんのリスク)や免疫力の抑制、目への悪影響といったデメリットがあります。
しかし、適度な紫外線にはメリットもたくさんあるのです。たとえば、紫外線はビタミンDの合成を助けます。ビタミンDは骨の健康に重要で、免疫機能をサポートし、筋肉や神経系にも良い影響を与えると言われています。最近では癌の予防や治療に関して有望という可能性も示唆されています。

また、紫外線は皮膚や目を通じて、脳内でセロトニンという神経伝達物質の分泌を促進します。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分を安定させる役割を持っています。
日照時間が短くなる冬に多く発症する「冬季うつ」(=季節性情動障害(SAD))は、セロトニンの分泌が減少することが一因とされており、紫外線を浴びることでセロトニンのレベルを回復させ、気分を改善する助けになります。

特に朝日を浴びると体内時計を整えるのに役立ちます。先ほどの「冬季うつ」は、体内時計の乱れが一因となっている場合もあり、朝日を浴びることで昼夜逆転を防ぎ、規則正しい生活リズムを作ることができると言われています。これによって、睡眠や活動のサイクルが正常化し、気分が改善される可能性があります。

紫外線はまた、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌を適切に調整します。「冬季うつ」の場合も過剰な眠気や夜間の眠れなさが問題となることがありますが、日光を浴びることで体内のホルモンバランスが整い、良質な睡眠が促進されます。これが気分やエネルギーの回復に繋がります。

春めいてきた今頃、なぜ私が「冬季うつ」を話題にして、紫外線の大切さをお話ししているかと言いますと、うつ傾向の強い人やひきこもりの人は、外に出ることがどうしても少なくなります。
布団の中に潜りこんで、光を見るのがつらいのでカーテンも一日中締めっぱなし、というような方が本当に多い。つまり、一年中「冬季うつ」状態です。

そんな方には、まずカーテンを開けて部屋の中に光を入れることをお勧めしています。それができたら、部屋の中でも良いので立ち上がって、頭を真上に向けてみてください。人は落ちこむ時には自然とうつむいてしまいますが、上を向くと落ちこめなくなります。そしてできることなら、家の中からでも良いので、適度に紫外線(できることなら朝日)を浴びていただきたいと思います。高齢者うつにも日向ぼっこは効果的だということですね。

2週間程前、私は奈良に程近い枚岡梅林に行ってきました。雪がちらつくような寒い薄曇りの日で、梅はまだあまり咲いていませんでしたが、水仙の群生や大好きな蝋梅の香りを楽しんできました。写真を撮る方ならおわかりだと思いますが、曇りの日でも戸外の紫外線は結構あります。遠出しなくても近くの公園に出かけるだけでも、随分気分は変わるものです。
落ちこみやすい方、昼夜逆転になりがちな方、睡眠に問題を抱えておられる方は、こんなふうに適度に日に当たることを心がけてみてはいかがでしょうか。

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