きのう何食べた?
・・・というのは、テレビドラマ化もされたよしながふみさんの漫画の題名ですが、きのう、あなたはどんな物を食べましたか?
今夜は何を食べようと思っていますか?
どんな食べ物がお好きでしょうか。
いろんな方のご相談を受けていて、時々気になるのが食事のことです。
特にうつ傾向の強い人にどんな食事をしているのか尋ねると、「食欲がなくてほとんど何も食べていない」とか、「朝、コーヒーを飲んだだけ」とか。「家にあるのはカロリーメイトしかない」という人もいました。
食事は身体だけではなく、精神の健康にも大切なのですが、あまり気にしていない方が多いように思います。
でも、脳の健康を支える栄養素を十分に摂ることが、うつ病や気分の落ち込みといったメンタルヘルスを改善するためにとても重要です。
あなたは加工食品やジャンクフードばかり食べていませんか?
そういう食品はトランス脂肪酸や精製された砂糖を多く含んでいるので、体内で炎症を引き起こします。慢性的な炎症は神経伝達物質、特にセロトニンやドーパミンといった「幸せホルモン」のバランスを乱して、うつ病や不安障害といった精神疾患のリスクを高めると言われています。
また、必須栄養素(ビタミンB群、亜鉛、鉄分、マグネシウムなど)が少なく、高GIによる「血糖値の乱高下」も引き起こします。どちらも神経伝達物質のバランスを乱して、イライラや不安感、疲労感が生じやすくなり、長期的には感情の不安定さや慢性的なストレスの原因になります。
食物繊維も少ないので、「第二の脳」とも呼ばれる腸内環境を乱してセロトニンの生成に大きな影響を及ぼし、気分の落ち込みや不安感が増すことがあります。
防腐剤や甘味料といった人工の添加物が腸内細菌に悪影響を与える可能性もあり、それらが酸化ストレスを引き起こして脳細胞にダメージを与えると、記憶力や集中力の低下につながります。
このように、加工食品やジャンクフードの摂取は身体的な健康だけでなく、精神的な健康にも直接的・間接的に悪影響を与えることがわかります。
でも、忙しい時や疲れている時など、そういった食品に頼ってしまうことは誰にでもありますよね。
ですから、これらを完全に排除するのではなく、バランスよく少量を楽しみながらも、できるだけ自然に近い食品をふだんから取り入れることが、メンタルヘルスの改善や維持に役立ちます。
ちなみに、アルコールには一時的なリラックス効果はあるものの、長期的には抑うつ症状を悪化させることがありますし、カフェインも適量であれば問題ありませんが、過剰に摂りすぎると不安感を増幅させる場合があります。
もちろん食事だけで精神状態の不調がすべてなくなるわけではありませんが、心身の土台を整えるという意味で、少しだけ毎日の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。
これから年末年始を迎え、食生活も乱れがちな季節になります。
暴飲暴食に気をつけながら、栄養面でもバランスの良い食事を心がけてくださいね。
どうか皆様、体に気をつけて良いお年をお迎えください。
そして来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。