楽しみながら
数年前には考えられないことでしたが、スマホ決済、カード決済が日常となり、今では私も現金を持ち歩くことがすっかり少なくなってしまいました。
現金を持ち歩かなくとも、多くのことが問題なくできる便利さをありがたく感じる半面、知らず知らずのうちに行われていた、手指を使ったり、段取りを立てたりする貴重な訓練の機会が奪われてしまっているのではないかと、時折不安に思ったりもしています。
例えば、スーパーで買い物をする際も、現金での支払い時には、自分の財布の中を思い巡らし、財布の中が小銭で溢れてしまわないよう、550円の買い物には1050円を支払って500円のお釣りをもらうように段取りを立てたり、端数のある支払いでは指先を駆使して、上手に1円や5円や10円など目的の小銭をつまみ出したりしなくてはなりませんでした。おつりのあるときには手指を十全に使って紙幣や小銭を受け取り、それを取り落とすことなく自分の財布にちゃんと納めることも必要でした。
しかし今やこのいくつもの作業は、スマホひとつ、カード一枚で全て完了させることができてしまいます。
便利には違いありませんが、手指を使うことは、乳幼児から高齢者に至るまで、認知機能の維持向上に役立つとされていますから、日々の生活の中でこうした機会が失われてしまっていることには、やはり不安も頭をよぎります。
そんな折り、友人から、最近は”大人のピアノレッスン”などが人気があると教えられました。音楽を楽しみながら、手指を使い認知機能の維持向上もできる、お得な習い事なのだそうです。私の友人も、人生初のピアノ演奏に挑んでいると話してくれました。
たしかに、鍵盤をイメージし、指先を駆使して、目的とする音を奏でる作業は、少し現金での支払い動作に似ているかもしれません。
認知機能は、年齢を問わず私たちの誰にとっても、とても大切なものです。
楽器の演奏、編み物や刺繍やパッチワークなどの手仕事、DIYなど、みなさんも何か楽しみながら手指を使うことにトライしてみてはいかがでしょうか。